福田公認会計士事務所 > 記事コンテンツ > どの法人で事業を始める?法人の種類とそれぞれのメリット・デメリット
事業を始めるときは、事業内容や設立目的などに応じて法人を選択する必要があります。
株式会社や合同会社など比較的選択されることの多い法人をピックアップし、それぞれの特徴や選び方についてまとめましたのでぜひ参考にしてください。
事業を始める際に選択できる法人形態にはいくつか種類があります。まずはその種類と特徴について紹介していきます。
株式会社は、起業で選ぶ法人形態としてはもっとも一般的です。株式の発行による資金調達が可能であること、株主の責任は出資額に限定されること、が大きな特徴です。
また、株式会社は一般的に知名度が高く、その点において比較的信用力が得られやすいとされています。
合同会社(LLC)は、株式会社に近い性質を持つ会社でありながら、設立手続きが簡素化されているなどの違いを持つ持分会社です。出資者全員が経営に参加でき、有限責任を負います。
設立・運営コストが比較的低く抑えられ、内部の意思決定や利益配分などについて柔軟な取り決めが可能です。また、将来的に事業が拡大した場合には株式会社への組織変更も選択肢となります。
このような特性から、起業初期の小規模事業や新規事業に適しているとされ、近年設立数が増加傾向にあります。
合資会社と合名会社は、無限責任社員が経営を担当する会社形態です。
※合資会社は無限責任社員と有限責任社員が混在する。
設立手続きが比較的簡素で、内部の取り決めに高い自由度があるという特徴がありますが、無限責任を負うリスクが存在します。そのため現在では選択される例は多くありません。リスクが高いうえ、ほかの法人形態で同様の利点を得られるためです。あえて合資会社や合同会社を選択すべき特殊な状況以外では、一般的に推奨はされません。
NPO法人(特定非営利活動法人)は、社会的・公益的な活動のうち所定の特定非営利活動を行うことを主たる目的とした法人です。
この法人形態は非営利活動を行う団体としての位置づけにあり、認定NPO法人となればさらに税制上の優遇措置を受けられるなどの利点が得られます。また、その活動目的から会員や寄付者、行政からの支援を受けやすい傾向にあります。
社会貢献や地域活動を主な目的とする団体にとって、検討に値する選択肢といえるでしょう。
一般社団法人と一般財団法人は会社ではありませんが、幅広い目的で設立ができる法人形態です。
なお、どちらも公益認定を受ければ税制上の優遇措置を受けられるようになります。
各種法人は営利・非営利、責任範囲、設立の容易さなどから分類することができます。その分類別にメリットやデメリットを整理しましたので、どのような傾向があるのかを掴んでおきましょう。
まずは営利法人と非営利法人の差です。これは利益を出してはいけないという意味ではなく、社員等に配当金のような分配ができるかどうかを表しています。
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営利法人 |
非営利法人 |
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該当する法人 |
株式会社 合同会社 合名会社 合資会社 |
NPO法人 一般社団法人 一般財団法人 |
メリットやデメリット |
・利益を構成員に分配可能 ・事業拡大や資金調達が比較的進めやすい ・税制面での優遇措置が相対的に少ない |
・税制面での優遇措置がある ・社会的信用が比較的高い ・利益を構成員に分配できない ・活動内容に制限がかかる |
また、責任範囲の違いから次のように分類することもできます。
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有限責任 |
無限責任 |
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該当する法人 |
株式会社 合同会社 NPO法人 一般社団法人 一般財団法人 |
合名会社 合資会社(有限責任社員を除く) |
メリットやデメリット |
・出資額や保証額を超える責任を負わない ・個人財産が保護される |
・労務を出資の対象とできるなど、設立時の出資手続きの負担が比較的小さい ・運営の自由度が高い ・会社の債務に対して個人財産も責任を負う |
設立手続きに着目して、次のような分類も可能です。
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設立が比較的容易 |
設立手続きが複雑 |
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該当する法人 |
合同会社 合名会社 合資会社 一般社団法人 |
株式会社 NPO法人 一般財団法人 |
メリットやデメリット |
・迅速に事業を開始できる ・設立コストが低い |
・設立にかかる時間とコストが比較的大きい ・運営に関する規制が多い |
このような差にも着目して法人を選ぶと良いでしょう。またその際は将来の展望なども考慮することが重要です。
各法人の特徴を踏まえて簡単なフローチャートを用意しました。あくまで目安として捉えることが重要ですが、以下の手順に沿って判定していけば合っている法人が見えてくるでしょう。