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会社を承継したときに税理士を変更した方が良いケースとは

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会社にとって税理士は重要なビジネスパートナーであり、適切な税務遂行と経営へのアドバイスを提供する専門家です。事業承継という大きなターニングポイントにおいて、先代から引き継いだ税理士との関係を見直すことは、新しい経営体制での成長・発展のために重要な検討事項の1つといえるでしょう

当記事では、事業承継を機に税理士の変更を検討すべきケースやその判断のポイント、その際の進め方などを解説していきます。

 

税理士変更を検討するケース

事業承継後、どのような状況下にあれば税理士の変更を検討するべきでしょうか。下の表に各ケースをまとめました。

 

変更を検討するケース

具体的な状況

経営方針の大きな変更がある

・事業拡大路線への転換

・新規事業への参入

・M&Aによる事業規模の拡大を予定 など

専門性の不足を感じる

・業界特有の税務処理への理解が不十分

・国際税務の知識が必要になるが対応できない

・事業承継税制に関する知見が不足 など

コミュニケーションに課題がある

・ITツールの活用に消極的

・新経営者との方針や価値観に大きなずれがある

・情報共有の方法が時代に合っていない など

事業規模に合わなくなった

・取引量の増加に対応できない

・業務に遅れが生じている

・組織再編や事業拡大への対応力不足 など

それぞれ詳しく見ていきます。

 

経営方針の大きな変更がある

事業承継を機に、会社の経営方針を転換させることもあります。たとえば、従来の保守的な経営から積極的な事業拡大路線への転換、新規事業への参入、M&Aによる事業規模の拡大などが考えられます。

このような経営方針の変更に伴って税務戦略の見直しも必要となりますし、先代から引き継いだ税理士が従来の経営スタイルに合わせた税務管理を得意としている場合、新しい経営方針に対応できない可能性があります。

このような場合には、新しい経営方針に共感してくれて、適切なアドバイスができる税理士との連携に切り替えることが望ましいといえます。

 

専門性の不足を感じる

事業承継後、税理士に専門性の不足を感じるようになった場合は変更を検討しましょう。

たとえば特定の業界に対する理解や経験が十分でないケース、ほかにもグローバル化に伴う国際税務の知識不足も大きな課題となります。海外取引の開始や海外子会社の設立を検討するのなら国際税務についての専門的なアドバイスが欠かせません。

また、近年の税制改正や電子帳簿保存法への対応など、最新の税務関連制度への理解や対応力も重要です。デジタル化が進む中、クラウド会計の活用など新しいテクノロジーを活用した税務管理の提案ができない場合も、専門性の不足として捉える必要があります。

 

コミュニケーションに課題がある

長年の信頼関係で築かれた独自のコミュニケーションのスタイルが、新しい経営者にフィットしない可能性があります。新規事業への参入や組織改革について相談しても、「先代のときはこのようにしていた。」といった視点からのアドバイスに終始し、新しい経営方針に沿った建設的な提案が得られないといった状況も起こり得ます。

また、税務に関する説明が抽象的で具体性に欠ける、質問に対する回答が曖昧、専門用語の解説が不十分といった状況も改善されるべきです。

さらに、ITツールの導入に消極的で会社のほうから提案をしても「従来通りの方法で十分。」などと姿勢を崩さず、より効率的なコミュニケーションの妨げとなってしまうおそれもあります。
新経営者がペーパーレスやDXの推進を考えていても前向きに動いてくれないときは、変更も視野に入れる必要があるでしょう。

 

事業規模に合わなくなった

売上規模の増加、取引量の拡大により、従来よりも税務処理の量が増えたり複雑さが増したりすることもあります。このことに伴い、「事業承継後、事業規模を拡大したのはいいものの税理士の対応が追いつかず業務に支障が出てしまっている。」といったケースでは顧問先の変更を検討する必要があるでしょう。

たとえば従前の税理士事務所が少人数体制であり、専門性の不足などに悩んでいるわけではないものの単純にマンパワーが足りず業務を処理しきれないという事態が起こり得ます。

「税理士事務所とは別にアウトソーシングも並行して活用する」、あるいは「自社の経理担当者を増員する」、などいくつか対処法はありますが、このタイミングで「顧問先となる税理士事務所や税理士法人を変える」という選択肢も視野に入れると良いです。

 

変更の手続きを進めるタイミング

税理士を変更するときは、その時期についても慎重に見極める必要があります。以下のポイントを参考に、自社に最適なタイミングを検討してください。

 

検討項目

実務上の留意点

決算業務との兼ね合い

・決算期終了後の新年度開始時がスムーズ。年度途中の変更、決算直前はできれば避ける。

・申告の2,3ヶ月前までには新税理士を決定しておく。

準備期間

・数ヶ月程度の準備期間はみておく。

・大規模な組織変更がある場合は半年以上前から着手する。

引き継ぎ期間

・最低でも1ヶ月、特殊な事情がある場合は2,3ヶ月が引き継ぎにかかるとみておく。

・新旧税理士との契約期間を一時的に被らせることでスムーズな引き継ぎが可能になる場合がある。

契約上の制約の確認

・現税理士との契約内容や解約条項を確認。

・報酬の締め方や精算方法を確認。

十分な準備期間を確保することが大事です。特に、決算期との関係は慎重に考える必要があります。年度途中での変更は月次決算データの連続性や年間の税務計画に影響を与える可能性があるためできれば避けましょう。

また、事業承継直後は経営の安定性にも配慮しましょう。新経営体制の方向性が固まってから変更を検討することで、より自社にマッチした税理士が探しやすくなります。

 

変更手続きの進め方

税理士の変更をどのように行うと良いのか、円滑に進めるため以下の手順も参考にしてください。

  1. 新しい税理士の選定
    • 経営方針や将来ビジョンが共有できる税理士を探す
    • 業界知識や専門性、事務所の規模や体制を確認
    • 複数の候補と面談を実施
    • コストを確認
  2. 社内での意思決定
    • 経営陣や関係部門との情報共有
    • 変更に伴う業務への影響の確認
  3. 現在の税理士への申し入れ
    • 変更の意向を丁寧に説明
    • 契約解除の時期や条件を確認
    • 引き継ぎに向けての必要書類のリストアップ
  4. 引き継ぎ作業の開始
    • 税務申告関係書類の引継ぎ
    • 会計データや電子帳簿の移行
    • 過去の税務処理の説明
    • 社内関係者への周知

変更手続きを進める際は丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。
また、単に税理士を交代するだけではなく、この機会に税務管理そのものを見直し、より効率的な体制を整備することも考えるのも良いです。ただし、あまり多くの変更を一度に行うことは混乱を招く可能性があるため、優先順位をつけて段階的に進めることをおすすめします。